胎内川水系楢ノ木沢鴨沢(二王子岳) 沢遡行 下越山岳会9月会山行

二王子岳東面の美渓でした

 遡行から二王子神社までの全体のGPSのLOG  奥胎内ヒュッテから二王子岳山頂までのLOG
   
 アゲマイノカッチに向かう尾根から観た奥胎内ヒュッテ  アゲマイノカッチに着いた
   
 楢ノ木沢の小さなゴルジュ帯での少しの泳ぎ  美しい渓相
   
 鴨沢に入っても小さなゴルジュ帯と小滝が飽きさせない  翌朝も朝から元気に水に浸かる・・・・気温が高いので助かります。
   
 水温の低い時期の朝ならチョッと勘弁して欲しいけれど、今回はOK  幕営地から約1時間。開けた地形は石だらけ
   
 真ん中の水流通しに進む  左の写真の場所に近付くとこんな感じ
   
 785m付近から飯豊連峰を望む  巨石が頭を押さえているから右から回り込んだ
   
 水はかなり細くなって、いよいよツメです  草原に出て二王子岳方向を観ると鐘吊り台が確認できた
   
 ヒド~藪~ヒドを抜けたら草原に出た。風が気持ち良かった  稜線を二王子岳に向けて進むけれど背丈を越える藪です
   


遡行日 平成24年9月16日(日)~17日(月・祝)
天 候  両日とも快晴
※    台風の影響でフェーンとなり9月としては記録的な高温(市街地では35℃以上)と東風が強めに吹いていた。

装備
沢シューズ、スパッツ、ヘルメット、手袋、ロープ、ハンマー、ピトン、スリング類、カラビナ、確保器、エイト環

ビバーク用品一式

参加者
石井さん(NEN 下越山岳会)、Konchang(小国山岳会)、LTQ(下越山岳会)

※ 送り・・・集合場所~二王子神社~奥胎内ヒュッテ  渡部君(下越山岳会)

9月16日(日)
05:30 集合場所 ボクが忘れ物を取りに戻り15分位ロス~二王子神社にLTQ車デポ。渡部車で奥胎内ヒュッテに送って貰う。
07:00 奥胎内ヒュッテ(350m)
07:16 奥胎内ヒュッテ発~胎内川徒渉
07:38 アゲマイノカッチへの尾根に取り付く
08:45 アゲマイノカッチVXT(当会川崎会員) 門内小屋管理で昨晩から駐在中と無線交信(667m) 
08:54 下降点(641m)
10:11 楢ノ木沢入渓(405m)
11:54 堂沢出合(457m)    渓の恵みを求めつつ遡行
15:12 ビバーク地(535m)


9月17日(月・祝)
06:04 ビバーク地発
07:13 700m分岐 VXTと交信
08:50 1,100m VXTと交信
09:45 ヒドの真砂土の壁で行き詰まり急な藪に突っ込む。かなり前腕が消耗。壁上でVXTと無線 OII(田邊さん)の波も受信(1,275m)
10:14 1,300mで草原に出る。心地よい風だ。

10:45 1,304m通過
11:24 二王子岳(1,420.3m)
12:22  二王子岳避難小屋発
13:24  独標(994.4m)
14:46 二王子神社(300m)
15:30 集合場所で荷を解いて解散


概要
下越山岳会、9月の会山行で担当はボク。

当初、楢ノ木沢を途中で二つに分ける、左俣の堂沢を検討、計画していたけれど、6月に同行者の事故がありそれ以降パッとしない。
気持がスッキリと晴れるようなこともなく、クライミングもゲレンデの杉滝岩でお茶を濁す程度で、沢の遡行も梅雨明けしても1本も入渓せず・・・・
それなら、登攀性のより少ないといわれる右俣の鴨沢に入ろうかな?と考え始めて計画を鴨沢に変更。癒し渓の遡行とした。

ところで、現在も奥胎内ダムの建設工事中で奥胎内ヒュッテから本流の沢通しというワケにはいかない。昔から良く使われている
アゲマイノカッチ経由で入渓することとした。300m強尾根登りして250m位下降する。
このダムが完成すると、楢ノ木沢下流部もダム湖になるらしい。

楢ノ木沢入渓後は、堂沢の出合いを左に送り、右俣の鴨沢に入り700m付近の分岐は本流である左。
当初800m付近の二股で右に入ろうか?と考えたものの、稜線に出てから、二王子岳まで遠くなるので、左へ。
そして、1,050m付近から左側の尾根~平坦地の地形に沿う様なかたちで、ヒドをツメ上がる。という計画に変更した。
今回のメンバーは、当初4名計画だったものの、当会新井田君は直前に御親戚に不幸があり泣く泣く断念となり
小国山岳会のKonchang、当会の石井(NEN)さん、とボクの3名の遡行となった。

担当・CL兼荷役動物・・・・LTQ
SL・・・・・・・・・・・・・・・・・・・NEN
登攀隊長兼河童・・・・・・・Konchang



記録
平成24年9月16日(日)
5時半5分前に集合場所に着くものの、ボクが忘れ物に気がついて一度戻り再スタート。送って頂く、渡部君の車とボクの車で一度、
二王子神社へ向かい、ボクの車をデポ。二王子神社には新井田君の車があった。
彼は、御親戚の不幸で今回の山行に参加できなくなり、二王子岳の水場が枯れていたため昨晩、夜間作業で二王子岳に登り山頂小屋
にボクたちのために、水4L、果物を運び上げてくれていたのだ。感謝です。

ボクの車を神社にデポして、渡部車で奥胎内ヒュッテへ。奥胎内ヒュッテ前で準備をしていると、ダム工事関係者が「おはようございます」と挨拶しな
がら、脇を通る。冬に向けて休日返上の作業があるのだろうか?渡部君に緑茶と大福を頂いて、出発。

渇水期のため、胎内川本流は膝位の徒渉で済んだ。渡ると足跡がある。前日のものの様な感じだ。
以前の記録をネットで観ると、ロープつけて泳いだだの、流されそうになった。だのと記述が
見られたが、今回は何の問題もなく渡り、少し下流側に移動してから、適当に斜面を登りつく。急な斜面で浮石だらけで落石に注意が必要な
状況だった。





アゲマイノカッチに続く踏み跡にでると、なかなかシッカリした踏み跡だった。暑い暑いを連呼しながらようやく、アゲマイノカッチ。
アゲマイノカッチ・・・・どんな意味なんだろう?ずっと気になっていたのだが・・・・
後半のカッチは頭で、一般的には山で~の頭(かしら)というのと同義で、私たちの住むエリア、山形の小国でも同じ使い方をするが、
沢の源頭部とかピークをさしてカッチと呼ぶ。
しかし、前半のアゲマイとは何の意味があるかなぁ?

さて、アゲマイノカッチからの下降。楢ノ木沢まで、簡単に降りた。という記録とエライ目にあったという記録双方存在する様だ。
いずれも、踏み跡も不明瞭になり適当な場所から下降みたいなイメージ。ボク達は、尾根通しに少し西側に進んだ鞍部から、ルンゼに入った。
少し下ると、浮石だらけで落石が怖い。2/3位下ったら、先行している石井さんが手掛かりかなく、傾斜がキツイ。という。
そんじゃ~ロープ出しましょってんで、捨て縄掛けて、懸垂。「NENさん、ロープ届いている?」とのボクの問いに「判らん、早めに切る」と云って下降。
これは、何事もなかったけれど、ボクが下るべきだった。反省である。
たまたま、30mロープ一杯でなんとかテラスに届いていたけれどヒヤリものだった。
その後も藪に摑まりながら下降、途中で下降してきたルンゼより少し大きい沢状に合流してようやく楢ノ木沢に出た。

一転、穏やかで明るい渓相で心が和む。ほぼ計画通りの時間で経過している。
小滝、小さなゴルジュがあり水もキレイで楽しい。大きな滝場もなく順調に進む。1時間ほど早く堂沢の分岐まで来たので、ここからは渓の恵みを
求めて、遊びながら、幕営地に向かう。
ここから、Konchngが大活躍。幕営予定地には1時間遅れで到着も幕営地に着いてから恵みを頂くか、頂きもを授かりながら進むかの違いで
大きな問題ではない。

さっそく、泊まりの準備を始める。なんやらかんやら、探し物やらやることもなかなか多いものだ。
それでも、明るいうちに乾杯~渓の恵みで酩酊レベル、飯盒メシにジンギスカンと進んで、Konchang、NENさんは19時頃には寝ちゃった・・・・

そんなに早く寝ると、夜中に目が覚めて、もう夜明けが遅いので辛いんじゃないかな?と思いきや、4時半過ぎまで寝ていた様だ。
ボクはというと、どうも、この沢音で思い出すことがあり、なかなか酔わない。
ウトウト気持良くなったのは23時近く・・・・ボクは防虫ネットに軍手をしたまま寝ていたけれど、konchng、NENさんは
無防備で時折、カイカイ!と云っていた様な・・・・


9月17日(月・祝)
コーヒーが入ったよ~。というNENさんの声で目覚めるけれど、まだ暗い。
朝鮮半島に進んだ、台風の影響で、フェーンとなり、暖かい夜で寒さで目覚めることもなかった。
時計は5時少し前。朝飯の準備をしつつ、パッキング。
ラーメンライスに魚肉ソーセージの朝飯を食べて出発。
寒い朝なら、水に入るのも躊躇われるが、今日の気温はさほど辛くもない。

幕営地から30分程進んだところに畳2枚位の残雪があった。標高で640m位の所なので、べらぼうな量の雪が堆積していたのだろう。
幕営地から1時間程登った700m分岐で現在位置を確認。その際、門内小屋のに管理で入っている当会のVXT(川崎)さんと無線が通じた。
ここの分岐で右に入るとかなり三光山の方に抜けてしまうだろうから、二王子岳まで余計に遠くなる。

両側の壁が狭まってくると、小滝、開けたところでは巨岩のゴーロ、チョクストーン等変化があり飽きない。
ただ、もっと滝登りをガンガンやりたい向きには少し退屈だろう。

9時少し前、1,100m地点で現在地の確認。VXTと交信。VXTは地神北峰から丸森を下るとのこと。
1,200m位で水がほとんど見えなくなる。ある意味ここからはツメの読図と現場のイメージ合わせ。
地形図のコンターが10m。逆にいえば、10m以下の地形変化は地形図上表現されないので、この辺りが難しい。
10mは人間にとってはかなりの高低差だから難しい。

1,260m付近で真砂化した傾斜の強い壁にでてしまう。Konchangを取り付かせショルダーで上げようとしたが、ホールドが剥がれてしまい
無理という。仕方ないので左岸側の傾斜が強い藪が疎らな斜面を登ることにする。傾斜が強いうえ、ザックが重く腕がパンプ。
癒し渓と決め込んで快適さを求めたザックの中身が仇になる。もっとも、丸腰で行って何かあると非難轟々、叱られるから、ショートバイルに
ピトン、テープスリング、捨て縄沢山。ガチャ大目これだけも、重くなる・・・・水に浸かりザックも重い
藪の傾斜が緩むまであと2m位でセルフビレイを藪にかけて、一休み・・・・なってこったい。そうこうしていると若いKonchangがスルスルと
登り傾斜の緩い所まで登ったのを観て目ざとく、「お~い、お助けヒモをくれぃ!」と引き上げて貰う。
ヤレヤレ快適性を求めた重荷が、ここでこんな形で仇になるとは・・・・





呼吸を整え、VXTを呼ぶ。地神北峰付近に居る様だ。
OII(田邊)さんの波も入る。ありゃ?稜線の東側だけど、ここまで上に来ると新発田の波も入るんだねえ・・・・と
思ったら、VXT-OII会話でOIIさんは二王子岳山頂に居られる様だ。
ふと、北側に目をやると、小さな浅いヒドがある。ほ~いいねぇ。
それと、南東側にももう1本ヒドが確認できた。イメージではこの南東側のヒドでツメ上がるつもりでいた。
1本間違えたけれど分岐は判らなかった。
まあ、水流があるワケでないので判りにくいのは事実だ。
NENさんもKonchangに確保して貰い登ってきたので、この北側の小さなヒドを詰めていく。僅かに藪をかき分けると、草原にポンと出た。
風が気持ちいい~

再度無線でOIIさんと会話。ゆっくり上がってこいとのこと。ガチャ類をしまい込み、靴を履き替え二王子岳を目指す。
登山道が整備されなくなって何年位経過したのだろうか?記憶にないけれど既に相当な荒れようである。
笹藪は背丈を越えかろうじて道形が判るところはいいのだが、ヤブツバキ等の灌木が密なところでは道形を失い時間がかかる。
直線で700m位高低差で100m位なものだろうが、1時間を要した。

OIIさん、渡辺会員の旦那様、地元小学校の野球部、そのご家族の方々の拍手でお迎え頂き三人で握手して小屋で一休み。
今回の山行関係者にメールで山頂到着を知らせた。
前日、新井田君が上げてくれた、水、果物のデポ品、OIIさんの差し入れ、渡辺さんの差し入れで喉を潤して一休みしていると
東京の梁山泊という沢登りの人たちが堂沢から上がってこられた。2泊行程で楽しまれた様だ。

う~ん結果的に癒しの鴨沢で良かったということか。
ユックリ休んで下山にかかる。八合目の水場は枯れていた。フェーンの風に吹かれて五合目までは順調だったが五合目からは相当に暑い。
五合目で水を飲んで下山を続ける。三合目の水場は確認しなかったがOIIさんによれば、出ていて使えるとのこと。

二合目の水場は乾いて埃が舞っていた。
神社に着いて水場で顔を洗って神主さんが居られたので挨拶してOIIさんと別れて前日の集合場所に向かう。
集合場所で共同装備、精算を済ませて解散!

なんとも楽しい2日間でした。
メンバー、サポートの皆様ありがとうございました。
無事故で楽しめたことに心よりの感謝。


追記:反省その他
1.アゲマイノカッチからの下降点は失敗だと思う。悪いルンゼを下った様だ。もっと手前なのかもしれない。
2.先が見えない懸垂は登り返し等に慣れている自分が行くべきだった。たまたまロープが足りたという幸運でしかない。
3.ツメに関しては、イイ線行っていただけに残念。では次回は思った通りに行くか?分岐が判らず迷ったワケではないのでまた間違うかもしれない。
4.たまたま、水量が少なく降雨の心配もなかったので、本流徒渉も遡行自体も平易であったが、水量が増したら、格段に厳しくなるのは間違いない。

総合的には美しく優しい沢で楽しい。ハードな滝登り志向の方には退屈かもしれない。
また、かなり水に浸かる場面の多い沢なので時期も重要かもしれない。

無事故安全に終えることができて良かった。




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